随意契約で放出される政府備蓄米を巡り、小売り業者が申し込んだ備蓄米をキャンセルする動きが出てきた。新潟県の業者が6000トンをキャンセルした他、「キャンセルを検討中」とする別の業者もいる。農水省によると、同省の求める8月末までの期間に申し込んだ米を売りきれないとの報告が業者からあったという。
備蓄米は現在、30万トンが随意契約を通じて国から小売業者に直接販売されている。そのうち22万トンは年間1万トン以上の米穀の取り扱いがある大手小売りが対象で、国は5月26日に受付を始め、28日にも枠が埋まった。「申し込みが間に合わなかった」とする業者も多い。
6000トンをキャンセルした米の小売りや卸売を手がける新潟県の業者は、理由について「会社の方針」(担当者)と説明。米の品質面が問題になったためではないという。
米卸が本業の同県にある別の業者は、「備蓄米をスーパーに卸そうと申し込んだが、注文後にできないと分かった。自社の店頭だけでは売り切れない」とし、キャンセルを検討している。
随意契約の備蓄米を巡って、政府はスピード感を重視する一方、「申し込んだ小売店の事業実態を十分に把握できていない」(流通関係者)との指摘もある。