米価の上昇が学校給食に影響を及ぼしている。本紙独自の緊急調査では、米飯だけでなく、給食そのものの実施回数を減らす動きも確認された。給食の現場で今、何が起きているのか――。
緊急調査で見えてきた課題
4月から市町村に売り渡される学校給食用米の価格が、2024年同期比で1・3~2倍強に上がることが、日本農業新聞が47都道府県の学校給食会に行った緊急調査でわかった。給食調理の現場では、米飯給食の回数やおかず・デザートを減らすなど、農産物の消費の減少につながる動きも出ている。
▶学校給食用米価 最大2倍に 利用減の動きも 本紙緊急調査
(2025年04月03日付)
給食用の米価、過去最高に
緊急調査の結果は、限られた給食費の中でやりくりしてきた関係者の限界を物語る。昨年来の「米不足」は給食用米を過去最高額に押し上げ、一部地域で初めて米価がパン価を上回った。しかし、パン業者も減っており、エネルギー高騰は他の食材価格も押し上げている。しわ寄せは子どもたちに向かっている。
▶「米不足」学給に波及 仕入れ難航、パン転換も困難
(2025年04月03日付)
給食の回数減らす自治体も
緊急調査からは、副食やデザート、米飯だけでなく、給食の実施回数を減らす自治体の動きも確認された。ほとんどの学給会が米の仕入れ先にしているJAグループの役割も期待されている。
▶ご飯食べてほしいけど… 「令和の米騒動」影響色濃く 本紙緊急調査から
(2025年04月05日付)
▶関連記事:給食百景アンケート自由記述全文
米価上げにもがく自治体
4月からの学校給食用米価の大幅な値上がりが給食費を圧迫し、子どもや保護者に影響が及び始めた。地場産や有機農産物の活用にも暗雲が漂う。政府が掲げる給食無償化にも、自治体側は「言葉が一人歩きしているだけで、中身の情報がない」といらだちを隠さない。
▶米価値上げに困惑 自治体「野菜減らすしか…」
(2025年04月16日付)
大型調理容器でおかずを作る調理員。現場は今、経費圧迫の直撃を受けている(西日本の学校給食センターで)
国に緊急対策求める 全給連
47都道府県の学校給食会でつくる全国学校給食推進連合会(全給連)は、給食用米価の大幅な値上がりなどを受け、国に緊急対策を求める要望書の提出を決めた。
▶全給連が国に緊急対策要望へ 給食用米値上がり受け
(2025年04月17日付)
国は重点交付金の活用呼びかけ
文部科学省が複数の自治体に、学校給食米の値上がりの影響を聞き取ったところ、「米飯回数を減らした」「肉・野菜を安価な食材に変えた」など対応に苦慮している実態が分かった。同省は緊急対応として「重点支援交付金の活用」を呼びかける。
▶給食米大幅値上がり 文科省が自治体の苦慮把握
(2025年04月24日付)
地場食材の利用率調査 国と自治体で乖離
支援策検討へ、実態把握が鍵に
学校給食の地場産食材の使用割合について、国と地方自治体の調査結果に、大きな乖離があることが日本農業新聞の調べで分かった。最大で32ポイントの開きがあった。政府が掲げる給食無償化へ、適切な支援策を検討していくため、専門家は実態把握が急務だと指摘する。
表全体は下記記事リンクに掲載
▶【独自】国と自治体調査 給食の地場産率で乖離
(2025年06月14日付)
どうなる、有機食材の利用
農水省は2023年度に学校給食で有機農産物を使った自治体が278市区町村となり、過去最多だった22年度を4割以上も上回ったとする調査結果を公表した。有機農業を大幅に拡大する「みどりの食料システム戦略」の目標達成に向けても、給食を重視する流れが加速している。
野菜を全量有機に…、実現性は? 「農家の特報班」迫る
東京都品川区が学校給食の野菜を有機や特別栽培に切り替える方針を発表し、注目が集まっている。給食に使う全ての野菜で取り組む計画は異例。「それだけの物量をそろえることができるのか」(都内の青果店)との声も上がる中、実現性を本紙・農家の特報班が調べた。
▶[農家の特報班]学校給食野菜を全量有機に… 東京都品川区の計画、実現性は?
(2025年03月07日付)
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各地の学校給食と産地、それにまつわる多彩な人模様を伝えます。